えっと……これって……。
マサトは、放心状態で立ち尽くした。この後、ミサキにどうやって顔を合わせればいいのか分からない。ミサキは明日の約束をどうするんだろうか。どうせ、またあの先輩に会いに行くんだろうから、俺との約束は断ってくるだろうか。
でも……そういえば……。
ミサキは、この後と明日に好きな人に誘われたって言ってなかったか? もしかして、俺のことか? いや、まさかな……。俺の後に約束してるだけだろ……。頭の中は、ミサキと先輩の姿でいっぱいになり、混乱と不信感が渦巻く。
このまま帰ってもいいかと思ったが、ミサキのことが心配というか、気になって仕方がなかった。複雑な気分で、マサトは重い足取りで倉庫を出た。
ミサキが先に帰ってくれてるのを祈りながら、陸上部の部室の近くにあった長椅子に座り、ぼんやりと空を眺める。さっきまで見ていた光景がフラッシュバックして、気分が悪くなる。ボーッとしていると、背中をポンッと叩かれた。ビクッ!と情けない声を出してしまい、マサトは肩を跳ね上がらせる。
ミサキか? それとも男友達か?
恐る恐る振り返ると、そこにはいつも通りのミサキが立っていた。彼女の顔には、先ほどの涙の跡も、悲しそうな表情もない。
「なに暗い顔してんの……? 告ってフラれたとか?」
その言葉は、まるで鋭い刃物のようにマサトの胸に突き刺さった。まさにそれに近いな……いや、それ以上の衝撃だったけどな……。うぅ……吐きそう……気持ち悪い……。
それよりも、あんなことがあったのに、どうしていつも通りなんだ?嫌がっているように見えたけど、やっぱりいつも、あの先輩とあんなことをしているから、もう慣れてしまっているのか……? マサトの心は、絶望と疑念で満たされていく。
「まぁ……そんな感じ……」
マサトが絞り出すように言うと、ミサキは一瞬固まった。しかし、すぐにいつもの笑顔に戻り、話を続けた。
「はぁ? マジ……」
ミサキは、マサトの言葉に一瞬固まったが、すぐにわざとらしい明るさで誤魔化すように話を続けた。
「あはは……マサトが女子に告白とかするんだ〜意外とスゴイんだね……」
その言葉はマサトの心に響かない。怒りとも悲しみともつかない感情が胸の中で渦を巻いていた。
「告白はしてないけどな……帰ろう」
そう言って、マサトはミサキに背を向け、歩き始めた。ミサキは慌ててその後を追ってくる。
「大丈夫? 具合悪そうだけど……?」
そりゃ、好きなミサキの、あんなものを見せられたら、ショックで具合も悪くなるに決まっている。衝撃的すぎる出来事だった。隣を歩くミサキの顔も見たくない。話す気にもなれず、ほとんど無言のまま帰ってきた。
家に着くまでの道のりは、重い沈黙に包まれていた。家の前で立ち止まると、ミサキが心配そうにマサトの顔を覗き込む。
「なぁ〜何か話があったんじゃないの? 珍しく帰りを待ってくれてたし……なに?」
朝は、またミサキと楽しく話をして、明日の予定を決めながら帰る予定だった。しかし、明日の約束はもう微妙な気分だし、そんな気にもなれない。彼氏や好きな人ができたのか探りを入れるつもりだったのに、あの光景を見たら、そんなことはどうでもよくなってしまった。
どうせ、あの先輩と付き合い始めたんじゃないのか? いや、でも……先輩に「好きな人と約束」って言ってたから、付き合ってはいないのか? じゃあ、先輩とはどういう関係なんだ? 好きな人がいて……エッチをするだけの関係ってことは、セックスフレンドってやつか?
ミサキが?俺の知ってるミサキが?
ミサキのイメージが音を立てて崩れていく。気分は最悪だった。もう、ミサキに会いたくない。いや、会えない。マサトは、玄関のドアノブに手をかけながら、ミサキから視線を逸らした。
ミサキの言葉に、マサトは意を決して尋ねた。
「な〜ミサキ、明日は……どうするの?」
その問いに、ミサキは不思議そうな顔をした。
「どうするの? って、約束したじゃん。迎えに来るけど……? 朝で良い?」
ん? ってことは……好きな人って、俺のこと? 頭の中でそう思った瞬間、マサトの心は激しく揺れ動いた。ミサキとの関係を、もうハッキリさせたい。両親は共働きで、夜九時頃に帰ってくる。今なら家で話をしても、誰にも聞かれる心配はない。
「ミサキ……この後に予定はあるか?」
「ん〜帰って夕飯食べて寝るだけ〜。どうして?」
そっか……。やっぱり、好きな人って俺なのか?
マサトは胸の奥が締め付けられるような痛みを感じた。もし好きな人が俺だとしても、素直に喜べない。付き合いたくもないし、それどころか、もう会いたくない。先輩との関係を知りたい。このままじゃいられない、気が重いけど、ミサキに直接聞くしかないだろう。
マサトは、震える手で自宅の鍵を開けた。
ミサキの言葉に、マサトは苛立ちを覚えながらも、努めて冷静に振る舞った。
「そっか……久しぶりに家に上がっていくか?」
「えぇ〜……どうしようかな〜……えへへ……」
いつも通りの、可愛らしく照れたような反応。しかし、今のマサトには可愛く感じられない。この状況でヘラヘラとしているミサキに、イライラが募る。どうせミサキは、こんな状況にも慣れているんだろうけど……。俺には、そんな余裕は一切なかった。
「イヤか?」
マサトがそう尋ねると、ミサキは悪戯っぽく微笑んで見せる。
「仕方ないなぁ〜。襲うなよ!?」
その軽薄な冗談に、マサトの心は凍り付いた。それ、今、言うなよ……。気分が悪い。
「ああ……」
マサトの素っ気ない返事に、ミサキは不満げな表情を浮かべる。
「なにその反応……ノリ悪っ!」
よくそのテンションでいられるよな……。マサトは、隣を歩くミサキを横目で見た。やっぱり、実は無理やりじゃなく、ミサキは楽しんでいるのか?そういうプレイだったりするのか?混乱した思考が、ぐるぐると頭の中を駆け巡る。
まあ、それを含めて、全部話を聞かなければならないだろう。マサトは、重い足取りで玄関の扉を開けた。
マサトは、玄関の扉を開けながら、ミサキに作り笑顔を見せた。
「少し具合悪くてさ、気にするなよ」
「あぁ〜そうだよね……顔色悪いもんな……ホントに大丈夫か?」
心配そうに顔を覗き込まれる。
「まぁ……何とか……」
ミサキと玄関に入ると、彼女はきょろきょろとあたりを見回した。
「うわぁ〜久しぶりに入った! 懐かしい……マサトの匂いがする……落ち着くな。この匂い好きっ!」
嬉しい言葉だ。本当なら、顔がニヤけてしまうところだった。けれど、これから聞くことになる話が、俺にはあまりにも重すぎる。喜んでいる余裕なんて、これっぽっちもなかった。
「部屋に行くか……」
そう言って、マサトはさっさと部屋に向かった。後ろから、ミサキの不満そうな声が聞こえてくる。
「もぉ〜リアクションなしとか……ひどっ!」
文句を言っているミサキを無視して、自分の部屋のベッドに腰掛ける。ミサキは、ぷくっと頬を膨らませたまま、隣に座った。二人の間には、重苦しい空気が流れていた。
ミサキは、ベッドに座りながらマサトの顔を覗き込んだ。
「ん〜なんか話しあるの?」
その言葉は、マサトにとってちょうど良いきっかけだった。ウジウジしていても、結局何も聞けずに終わってしまうかもしれない。マサトは意を決して、ゆっくりと口を開いた。
「ああ……さっきミサキを待ってる時にさ……」
「うん? なになに?」
ミサキは興味ありげな表情でニコニコしながら相槌を打つ。いつも通りの、明るいミサキの姿だった。
「あの……倉庫でさ……」
その言葉を聞いた途端、ミサキの顔色が一気に悪くなった。それまで浮かべていた笑顔は消え、焦りの色がありありと浮かんでいた。
俯いて涙を流すミサキを、先輩は何もなかったかのようにその場に置いて帰っていってしまった。ミサキは一人、地面に座り込んだまま嗚咽を漏らす。雨が降り始めたのか、冷たい雫がミサキの頬を叩き、地面に染みを作っていく。「ううぅ……なんで、こうなっちゃったの? わたしが何をしたの?」 別に、先輩に優しくしてほしいわけじゃない。好きでもないし、むしろ嫌いで顔も見たくない。ただもう、解放してほしいだけなのに。放っておいてほしいだけなのに。「はぁ……何が原因だったんだろ……?」 そういえば、マサトがよく言っていたことを思い出す。『お前は、そんな男っぽい性格で振る舞ってるけど、見た目は可愛いんだから気を付けろよ』と。 ミサキはその言葉を無視し、更衣室が混んでいるからと、体操服を着たままバッグと制服を抱えて空き教室を探し回っていた。これから着替えるのがバレバレだっただろう。着替えるなら、人が来ない場所に行くのもバレバレだ。それで、人が来ない空き教室に入った自分が悪かったのだろうか。わたしの着替えなんて見たい人いない、そう思っていた自分が、本当に馬鹿だった。ミサキは、雨に濡れながら、後悔の念に囚われていた。 様々な考えが頭を巡り、落ち込みながらもなんとか立ち上がろうと腰を上げた。その瞬間、ミサキの股からドロッとしたものが溢れ出てくるのが見える。それは、先輩から何度も中で出された大量の精子だった。太ももにもつーっと伝って垂れてくる。その光景を見ているだけで、ミサキは心が拒絶しているのか、ひどい吐き気を感じた。 ミサキは、先輩によってぐちゃぐちゃに汚されたアソコを、かろうじてティッシュで拭き、身なりを整えてベンチに座った。ぼんやりと空を見上げていると、マサトがミサキを探し回ってくれていたらしい。「おい。ここで先輩と待ち合わせなのか?」 マサトの問いに、ミサキは咄嗟に言葉を否定する。「ち、違うってばっ。散歩してて休んでるだけ……」「そうなのか? 随分と、ぐったりしてるし……大丈夫なのか?」「うん……ちょっと歩きすぎたのかも……べつに大丈夫だよっ」 マサトと話していると、ミサキの心に罪悪感が押し寄せてくる。彼の顔をまともに見ることができない。嘘をついている自分が、本当につらかった。「先輩と公園で約束してただろ? どこの公園なんだ? これから行くつもりなのか?」 マ
「嫌だって言う割には、触る前から濡れてるぞ? で、昨日は好きな人に入れてもらったのか? 俺が出した穴で……?」「関係ないでしょ……」「へぇ〜。その反応だと入れたんだな……。俺がたっぷり出した穴で、気持ち良いって彼氏に言ってもらえたか?んで……これからまた、たっぷり出された後で、彼氏に使用済みの穴で、彼氏がソレを入れて、俺の精子で擦られて気持ち良いって言って、また同じ穴で出されるのか?あはは……彼氏は何も知らずに最高だな……毎回俺の後だって知らずによ。んで、知らずに俺の精子が入ってるのも知らずに、舐めて濡れてるって勘違いして興奮して喜んでるんじゃね? お前の俺の精子を舐めて美味しいってよ。最高だな」 ミサキは最低で酷い言葉を投げつけられているのに、アソコがくちゅくちゅと音を立てるほど濡れていくのを感じていた。先輩に触られると、すぐに気持ちよくなってしまう。わたしも最低だね……。こうなること、本当は分かっていたのに、マサトと付き合うと言って喜んでしまった。先輩のアレを舐めた後でキスもしたし、口の中で出された後にも舌を絡ませたりした。そんな自分は、本当に最低だ。「そんなことないっ! いや……やめてっ! もう、彼氏と以外はしないっ!」 ミサキの言葉に、先輩は楽しそうに笑いながら言った。「そんなことを言ってても、初めての時もそんなことを言ってても、毎日、俺の所に通ってるじゃん」 違う。脅されて、仕方なく来ているだけだ。今は、マサトと付き合って、彼女になったんだ。マサトの彼女なのっ! ミサキはそう心の中で叫び、マサトの元に帰らなければと強く思った。彼の腕の中に帰りたい。彼の優しさに包まれたい。先輩の冷たくて、下卑た笑みから逃げ出したかった。「こんだけ濡れてれば、もう入るだろ……。それにしても、毛も生えてない小さな子供みたいな割れ目なのに、少し触っただけなのによ……こんなにドロドロでグチャグチャに濡らして、エロい汁が垂れてるぞ?挿れて欲しくてお前の穴がヒクッヒクッておねだりしてるし、もう入れるぞっ。早く尻をこっちに向けて出せよ」 先輩に酷い言葉を投げつけられ、触られているうちに、ミサキはまた抵抗することができなくなった。されるがままの状態で、何も言い返すことができない。マサト、助けて。マサトの彼女なのに……。 昨日のマサトに触られている時よりも、先輩に触られて
こんな出来事を、マサトに話せるわけがない。先輩との行為を見られても、まだミサキのことを好きだと言ってくれる。付き合ってほしいと、あんなにも優しい瞳で言ってくれたのに。先輩との時間が気持ちよかったなんて、絶対に知られたくない。毎日のように犯され、快楽に溺れてしまったことも、マサトには知られたくない。 今でさえ、ミサキが先輩に犯されているのを見て、ショックのあまりマサトのソレは萎えてしまっている。先輩が話を盛って嘘を言っていると、ミサキが必死に嘘を言っても、マサトのソレは大きくならない。このまま真実をマサトに知られてしまったら、きっとすべてが終わってしまう気がする。マサトとの関係も、マサトへの想いも。それは絶対に嫌だ、とミサキは心の中で叫んだ。「マサト……これから、どうするの?」「え? なにが?」「先輩……なにか秘策があるって言ってたけど、何をするの?」「あぁ、あのエッチをしてる動画をバラ撒くって脅せば、あいつも引き下がるだろ?無理やりエッチをさせてるわけだし」 それは、まずい。先輩も動画を撮っていた。それに、ミサキ自身が「気持ち良い」とか「我慢できない……入れて」と懇願している動画も撮られている。もしマサトが先輩に動画を見せたら、反撃されるだけで終わってしまう。そんなことをすれば、きっとマサトはミサキに幻滅するだろう。そんなの耐えられない。「そ、そうなんだ……上手くいくといいな……」「ミサキ、顔色悪いぞ?やっぱり今日、初めて……無理やりエッチされて、具合が悪くなっちゃったんじゃないか?」 ミサキは俯いて、小さく首を横に振った。ごめん、マサト。初めては、とっくの昔に奪われちゃっているんだよ……。マサトの言葉が、ミサキの心に重くのしかかった。「あ、そうかも……少し休んでるから、お風呂入ってきちゃえば?」「あ……そうだな、ちょっと待っててな」 マサトがお風呂に入っている間に、ミサキはマサトのスマホから動画を消去してしまった。自分と先輩がエッチをしている動画をマサトが持っているのも嫌だったし、もしマサトが先輩に見せに行って、先輩のスマホにある動画を見せられたら最悪だ。そんなことになれば、マサトとの関係は完全に終わってしまうだろう。ごめん……マサト……。 やがて、マサトがお風呂から上がり、部屋に戻ってきた。「具合はどうだ?」「あ、うん。少し良く
ミサキ視点 マサトの腕の中にいる。ミサキは、その温かさと優しい匂いに包まれながら、本当は嬉しくて仕方がなかった。彼の大きな手が、背中にそっと回される。その手のひらから伝わる熱が、ミサキの心の奥底に染み渡っていくようだった。こんな自分を、マサトは心配してくれている。そして、信じてくれようとしている。それどころか、「付き合わないか?」とまで言ってくれた。 小学校の低学年の頃から、ずっとマサトのことが気になっていた。いつも隣にいて、一緒に遊んでくれて、優しいマサト。その笑顔を見るたびに胸がキュンと音を立てるような、淡い恋心をずっと抱いていた。だから、本当は「うん」と頷いて、彼の腕の中で安堵の涙を流したかった。心から付き合いたいと願っていた。 あれは、ほんの数ヶ月前のことだ。陸上部の練習が終わり、更衣室が混んでいたので、ミサキは人目につかないようにと、空き教室の片隅で着替えをしていた。体育着を脱ぎ、下着姿になったその時、教室の扉がギーッと音を立てて開いた。そこに立っていたのは、部活の先輩だった。「お前、こんな所で着替えてんのか? 誘ってんだろ……それ」 先輩は、獲物を見つけたかのようにニヤニヤと下卑た笑みを浮かべ、ミサキの方へゆっくりと近づいてきた。その足音は、ミサキの鼓動に合わせてかのように、ドクドクと不気味に響く。「きゃっ! 着替えてるんで、出ていってください!」 ミサキは慌てて両手で胸とパンツを隠し、後ずさりする。背中が冷たい壁にぶつかり、もう逃げ場はなかった。ミサキの下着姿を、先輩は楽しむようにスマホのカメラで数枚、写真を撮っていた。フラッシュの光がミサキの目に焼き付く。「撮らないでください!イヤっ!」 絞り出した悲鳴は、むなしく空き教室に響くだけだった。着替える場所を人目に付かない場所にしたのは、自分自身だった。その自分の選択が、今の状況を招いてしまった。後悔と恐怖が、ミサキの心に重くのしかかる。壁に背中を押しつけられたまま、ミサキはただ震えることしかできなかった。 写真を撮られたことにミサキの思考は完全に停止していた。頭の中は真っ白で、何が起きているのかを理解するまでに時間がかかった。「え? 何で……先輩が……? わたし、どうなるの……?」 混乱するミサキの心とは裏腹に、先輩の行動は素早かった。考える間もなく、腕を掴まれ、背後から抱きし
マサトは、恥ずかしさからか、素直に「可愛い」とは言えなかった。代わりに、口から出たのは別の言葉だった。「似合ってる……」 ミサキは、その言葉に満足したように「えへへ……♪」と嬉しそうに微笑んだ。「ご機嫌だな?」「それは……マサトに告られて、付き合えることになったからねぇ〜。それに今日、お泊まりだよ?嬉しくないわけないだろっ」 ミサキの言葉に、マサトはさっきまでのことを思い出す。そういえば、ミサキがうちに泊まることになったんだっけ。「あ、そうだ! 客室で寝るだろ? 用意してくるか〜」 マサトは、慌ててベッドから立ち上がろうとした。しかし、ミサキがその手を掴む。「は? 付き合ってるんだから一緒に寝よう……? あ、さっき先輩とエッチしちゃってるからイヤだよね…………はぁ……」 ミサキの言葉に、マサトは再び思考が停止した。 ん? 俺とエッチしてもいいってこと? それとも、自分の体が汚いって思ってる?どちらにせよ、ミサキの言葉はマサトの心を大きく揺さぶった。 ミサキの言葉に、マサトは焦った。「いや、付き合ってても、まだ中学一年だし……」「ふぅ〜ん……わたしに興味がないんだ?」 ミサキは、そう言ってマサトの胸に顔を埋めた。「あるけど……」「けど……汚いって思ってるよねぇ……。ホントなら、マサトに初めてを捧げようって思ってたんだけどなぁ……最悪だよ……」 その言葉は、マサトの心に突き刺さった。ミサキは、本当に辛いんだ。「そう思ってくれてるだけで、十分嬉しいって」 マサトは、震える声でそう答えた。しかし、ミサキの言葉は止まらない。「じゃあ……キスしよ? ねぇ〜、口も洗ってきたし、キレイだよ。アソコもできるだけキレイにしてきたし……まあ……良かったらだけど……な~」「え?」 マサトが戸惑っていると、ミサキはさらに続けた。「だって……どうせなら、好きな人とエッチして、幸せな気分でいたいじゃん……。自分でも汚いって思っちゃうしさ……。マサトで上書きして欲しい……ダメかぁー? いや?」 ミサキは、マサトの返事を待たずに、そのまま抱きしめてきた。そのまま、二人はベッドに倒れ込む。ミサキは、マサトの唇に自分の唇を重ね、舌を入れてきた。マサトの舌に、ミサキの舌が絡みつく。ゾクゾクと、背筋に電流が走った。 しかし、その瞬間、さっきの倉庫での光景
ミサキは、焦った表情でマサトに問い返した。「は? え……? 倉庫って? ど、どこ……の?」「陸部……の……」 マサトの言葉に、ミサキの顔から血の気が引いていく。その瞳は大きく見開かれ、唇が震えていた。「え……!? み、見ちゃったの……!?」 力が抜けたように肩を落とし、ミサキは愕然とした表情で聞いてきた。その声は、震えていてか細い。「ミサキを待つのに陸部の倉庫の中で、スマホは持ち込みが禁止されてるから隠れてゲームして待ってたら、先輩とミサキが入ってきた……」「……そ、そっか……見られてたのか……最悪! ……わたしの人生……終わった……!! で……なに……?」 ミサキは目を逸らし、マサトから距離を取るようにベッドの上で少しずつ後退した。顔色は、マサトよりも悪いんじゃないかと思うほど青ざめている。「先輩と付き合ってるのか?」 これが、今、マサトが絶対に知りたい情報だった。もし付き合っていたのなら、俺が口出しする余地はない。話は、そこで終了だ。そして、もうミサキとは二度と会いたくない。いや、会えない。 明日からの迎えも、もう断ろう。そう心に決め、マサトはミサキの返事を待った。 ミサキは俯いたままだったが、強い口調で言った。「……付き合ってるわけ無いじゃん!!」 付き合っていないのは、先輩に「好きな人がいる」とハッキリ言っていたから分かっていた。マサトは、ただ確認のために聞いたのだ。「付き合ってなくてエッチしてるのか?」 これも重要な情報だった。もし付き合っていなくても、ミサキが好きでエッチを許しているのかもしれない。あるいは、セックスフレンドという可能性もある。「見てたなら分かるでしょ……無理やりだって……」 ミサキはそう言って、涙声になった。その言葉に、マサトは思わず反論してしまう。「でも、ミサキが抵抗しないっておかしいだろ?」 その言葉は、マサト自身にも向けられていた。ミサキは、さらに声を震わせる。「初めは抵抗してたし……力で勝てるわけ無いじゃん。それに、妹の好きな人のお兄ちゃんだし……騒ぎにしたくなくて……」 ミサキの言葉に、マサトは混乱した。「だったら、騒ぎにしなくても行かなければ良かったんじゃないの?」「……その……昨日さ……スマホで写真を撮られちゃってさ……来なきゃ皆に送るって言われて、仕方なくって感じかな…